選択制確定拠出年金制度のメリット(企業型)

従来の確定給付型企業年金制度が長く続く低金利のために予定利率を確保することががむずかしく、その給付額の保証義務の影響で様々な弊害を引き起こしています。

また、厚生年金をはじめとする国の公的年金制度が採用する「賦課方式」では世代間扶養を実現し働く現役世代の人が払い込んだ保険料を現在の高齢者に支給しています。しかしながら1990年には1人の高齢者に対して5.1人の現役世代がいたのに対し2025年には1人の高齢者を支える現役世代は1.9人になる見通しです。これでは保険料の引き上げにより、また受給額の調整として均衡を図らざるを得ません。

そこで国は確定拠出年金法を制定し給付額ではなく拠出額(積立金)を保証する企業年金制度への移行を促進してきました。さらに近年「じぶん年金」という自分が積立てた資産を自分が給付を受ける仕組みが注目をされています。

このような背景の中、平田事務所では以下の点に留意し「従業員の老後生活資金確保という福利厚生制度」という観点から、さらに小規模の事業所でも最小限の負担で導入できる「退職金制度と融合する企業年金制度」という観点からも各種の企業年金制度を検討しました。

・小規模の事業所でも無理なく導入できるよう掛金の負担が企業に発生しない制度設計が出来ること・

・従業員の意思を尊重するために制度参加を各従業員ごとに選択できること

・掛金額を従業員が任意に選択できその変更も可能なこと。

・各種の税制メリットが用意されていること。

・掛金として支出した金額が事業所とオフバランスの関係となり安全が確保されること。

・役員への導入が可能なこと。

・他の年金制度とのポータビリティがあること。

 

 

1)企業型確定拠出年金の制度設立形態には単独型と総合型があります。「ゆとりライフ401kプラン」では総合型を採用しています。総合型とは代表事業主(SBIリース)が参加企業を代表して規約の申請、事務のとりまとめを行います。参加企業は1規約の元に参加します。単独型と比較して①運営管理費用(コスト)の低廉化②制度発足までの期間の短縮がメリットです。

2)加入資格は60歳未満の厚生年金加入者全員ですが、前払い退職金との選択制により実質任意加入が可能です。また掛金と前払い退職金との比率を数段階設定しひとりひとりの従業員が希望する比率を選ぶことが可能であり全額前払い退職金を選択すれば従前の給与となんら変わることがありません。

3)掛金は全額損金の対象となります。拠出限度額は51.000円(月/1人)ですが厚生年金基金・確定給付企業年金等の他の企業年金をすでに実施の場合は25.500円が拠出限度額となります。(小規模企業共済・中小企業退職金共済は厳密には企業年金制度ではないので制約はなくこれらを実施していても拠出限度額は51.000円となります。)

4)勤続3年未満で自己都合退職した場合、積み立てた掛け金を返還させる設定は可能ですが企業が掛けた掛金額が上限ですので選択式確定拠出年金で掛金の原資が全額給与の場合前払い退職金を選んだ従業員との公平性の点からこの返還の設定はなじみません。

5)資格を喪失するのは①60歳に達した日(誕生日の前日)②退職した日の翌日(ただし受給できるのは60歳から)③死亡した日の翌日(死亡一時金が相続税の対象として支給されますが確定拠出年金には保険機能はないため運用後の積立金額のみが支給されます。)

6)給付の種類には①老齢給付金②障害給付金③死亡一時金④脱退一時金があります。

①老齢給付金・・・確定拠出年金において、加入者または加入者であった者に原則60歳から支給する年金または一時金。60歳到達時点で通算加入者等期間(加入者期間と運用指図者期間を合算した期間)が10年に満たない場合、下記の年齢で請求することができる。

確定拠出年金の受給に必要な通算加入者等期間と請求時の年齢
通算加入者等期間 請求時の年齢
8年以上 61歳以上62歳未満
6年以上 62歳以上63歳未満
4年以上 63歳以上64歳未満
2年以上 64歳以上65歳未満
1ヶ月以上 65歳以上

年金の支給予定期間については、5年以上20年以下が原則である(保険契約または共済契約による終身年金の給付の額を除く)。
また、加入者または加入者であった者が老齢給付金の請求をすることなく70歳になった時、資産管理機関または国民年金基金連合会は、記録関連運営機関等の裁定に基づいて、その者に老齢給付金を支給する。

②障害給付金・・・加入員(加入者)および加入員(加入者)であった者が規約で定める障害の状態(障害厚生年金の障害給付等の範囲内)に該当し、規約に定められている場合に、その本人に支給される年金または一時金。

③死亡一時金・・・加入者が死亡した場合、個人別管理資産額を規約に定める遺族に支給します。

④脱退一時金・・・会社を退職して企業型確定拠出年金から脱退し、一時金を取得できるケースは以下の2点です。

1.資産額が1万5千円以下である

2.資産額が50万円以下又は通算拠出期間が3年以下で、

次の全てに該当する場合

・60歳未満
・企業型確定拠出年金加入者で無い
・個人型確定拠出年金の加入者となる資格が無い(※)
・障害給付金の受給権者でない
・資格喪失日から2年を経過していない
・企業型確定拠出年金から脱退一時金の支給を受けていない

※国民年金の保険料免除を受けていたり、第3号被保険者(専業主婦)や公務員など

7)加入者が中途退職した場合、

加入者自身が個人別管理資産の移換手続き行います。
①転職時 転職先の制度に移換するか、制度がない場合には個人型へ移換します。
②国民年金1号もしくは3号になった場合(自営業者や専業主婦、公務員など):個人型に移換します。

8)税制メリットとしては以下の通りです。

・企業が拠出した掛金は全額損金(会社が負担)
・投信の売却益(キャピタルゲイン)、預金の利息は非課税
・受給時の一時金は退職所得控除、年金は公的年金等控除の対象
※個人別管理資産に掛かる特別法人税は平成23年3月末まで凍結

9)運用指図の方法はWEBより変更指示が可能です。

・掛金の積立割合(拠出日の8営業日前日までに変更した場合、次回より反映)
・運用商品の変更(運用商品の変更をスイッチングと呼びます)